「向田邦子の恋文」
向田和子『向田邦子の恋文』を読んだ。
眺めの良いカフェの蔵書。連れが帰った後、一人で読み切ってしまった。
向田邦子は好きである。大人で知性と品があって、美意識もある、というイメージ。
妹さんから見た、邦子さんは、精神的にも経済的にも家族を支えていた、母よりも精神的に大人であったお姉さん。
稀に、神は、そういう特別な人を下界に遣わすのだ、、、と思ってしまった。
親の育て方だけとは、思えない。
N氏とのやり取りも、品があり、大人である。
しかしながら、秘めなければならない想いだったというのが、またせつない。
「重要で大きな部分を占めていながら公にはしない想い」を内に秘めている、というのが「大人」と感じさせる要素なのかな。
邦子さんが、家族を支え続けたその精神力、責任感、家族愛と、それらがとても強いものにも関わらず、ちっとも喧伝するでもなくごくごく自然にふるまっていることに感動してしまった。
よくやるのだが、読後にAmazonの書評を読んだりする。
そしたら、「姉の秘め事を公にして喰いものにする強欲な妹」というような感想を抱いている人が複数人いて、驚いた。
そういう見方もあるんだなぁ、と。
私は、作家向田邦子の人間的な奥深さが知れたことに感動した。