「15人が選んだ幸せの道」
「15人が選んだ幸せの道 選択理論と現実療法の実際」ウイリアム・グラッサー
興味を持ち始めた選択理論心理学について知るために、図書館から借りてみた。
選択理論を提唱したグラッサー博士の本で、
グラッサー博士が選択理論を用いてカウンセリングをおこなっている様子(「現実療法」の現場)を、
グラッサー博士の考え方を交えながら、
主に会話形式で詳細を記したもの。
クライエントの抱える問題は、夫婦関係であったり、問題行動の多い少年とその教師だったり、うつ、アルコール依存症、自殺願望などなど・・・
必ずしも解決方法にたどり着いているわけではなく、
私はこういうカウンセリングをした、以上。(・・・その後クライエントがどういう行動を選択したかはわからない場合はそのまま)というスタンスを貫いているのも興味深い。
選択理論について知り始めたばかりなので、
博士のどういう態度がどういう手法(技法?)なのかはわからないのだけど、、、
私の感想は、
選択理論、すごい、すばらしいということ。
どこが?というところを私なりの言葉で考えていくと、、、
・カウンセラーとクライエントが対等
・カウンセラーがクライエントの人としての尊厳をすごく大事にしている
・カウンセラーが、何をどう言うべきか、何を言わないべきか、どのタイミングで伝えるべきか、伝えないべきか、どんな表情でいるのか、、、というところまで、意識的に行っている。それは、クライエントを尊重するためであり、クライエントの持つ課題を改善するために重要だと考えられている
・カウンセラーが一方的に指導をするのではなく、クライエントの「好ましい状態」を維持するために、「選択理論で行動する」という選択肢を提供すること
・すべてがカウンセラーの押しつけではなく、クライエントの「あなたがそれを望み、選択したいのならば」ということが前提であること。
「あなたがそれを望まないのなら、私にできることはありません」という毅然とした態度
グラッサー博士の態度は驚くほど冷静だし、丁寧だし、親切だし、そして気が長い。
カウンセリングの後、クライエントがどうするのか、どうなるのか、は全くクライエント次第。
カウンセリングのたびに、そのときのクライエントの状態に合わせて、最善を探っていく。
私の持つカウンセリングのイメージは、
「何が問題か」「それはなぜおこったか」「そのときどういう気持ちだったか」・・・と何が問題かをつきつめ、そこを解消していくもの、だった。
が、
この本に書かれる「現実療法」は「今このとき」から、何を選択していくのか、を考えるカウンセリングだということ。
クライエントが「できない」と思っていることも、「問題を解決するために、できるできない、ではなく、必要なこととして行動を選択するのだ」ということを、クライエントが納得ができるように対話していく、ということ。
「心理学」という言葉が、あたかも相手の心理を操るためのもの、
相手の心を読む(そして自分にとってどうかを知る)ためのもの、
と思いがちだが(もうそれも一昔前の感はあるが)、
そうではなく、
自分の心、人(相手)の心のあり方を知り、より望ましい方向にするための学問であり、何ができるかを考えるための材料、と捉えたらいいのかな。
私が心理学に興味があるのは、
自分がよりよく生きるため、自分と身近な人の関係がよりよくなるため、
そして私が関わることができる人たちがほんの少しでも気分良く、心地よく生きるためのお手伝いをする、考え方の基礎にしたいから、なのだと思う。
繰り返し書いてるけど、
まずは自分。
平行して、職場でも意識できるようになれれば、すごく意味のある学びになる。